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ニュースで学ぶ与信管理と債権回収  
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2025年11月26日
 
 
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━━━━━━━━━━VOL.1387(2025年11月26日号)━━━━

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◆今週のテーマ◆

「タイの「徳政令」、利息免除の波紋」

タイにおいて債務免除政策、いわゆる「徳政令」が閣議決定されたというニュースが話題を呼んでいる。

タイ王国政府は、来年1月から始動を予定する「借金をなくして前進する」政策を閣議決定した。

対象となるのは、借入総額が10万バーツ(約48万円)以下の返済不能状態に陥った国民およそ340万人。

元本の返済義務は残るものの、利息の支払いを「免除」するという内容で、予算規模は最大1,200億バーツ(約5,800億円)という。

利息を免除された人が、元本を完済すると、「延滞などの信用情報」が削除される。
新たな借入れを行いやすくする信用回復の意味合いもあるようだ。

この政策の背後には、複数の意図と構造が重なっている。

まず、政治的意図。現在のタイ政権は来年1月末にも解散総選挙を予定しており、即効性のある手立てとして債務軽減を打ち出したものである。

次に、消費刺激という目的。利息を免除し、信用記録の抹消まで伴うとすれば、借金に苦しむ層が息をしやすくなり、消費へと向かう可能性が高まる。

タイでは、後払い・分割購入が日常的で、若年層を中心に借入習慣が広がっており、情報は先進国並みに入ってきている一方、所得が追い付いていない。

こうした環境下で、債務抱えた人々向けの救済政策が、信用の概念を変えるきっかけとなる可能性がある。

一方で副作用も懸念されている。例えば、返済をきちんと行ってきた借入者が「なぜ自分だけが苦しむのか」と感じる不公平感、あるいは利払いを怠る人々への甘えといったメッセージとなるリスクも指摘されている。

2024年11月、似たような政策はインドネシアでも実施された。

インドネシア政府は約100万人の農業者・漁業者および中小企業に対し、国営銀行の貸出債務を免除する政府規則を発令した。

債務上限は企業で5億ルピア(約470万円)、個人で3億ルピア(280万円)。

ただし、こちらは、自然災害やコロナウィルスの影響で経営難に陥った事業者が対象となっている。

タイの方が一人当たりの上限額は圧倒的に少ないが、対象者の数はかなり広範である。

債務免除という手法が政府政策として現実に採用されるということは、信用が「国家介入による再構築」の対象となり得るということを意味する。

無論、日本では、室町時代以降、徳政令が出されたことはない。

インドネシアやタイは特殊な要因による苦肉の策であり、他の新興国で同様の政策が発令されることは考えにくい。

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★編集後記★

11月も終わりですね。
2025年が早くもあと1か月となりました。
今年の内にできることをやっておきたいですね。

☆次回は12月5日発行予定です。

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『海外取引でよく使われる与信管理の英語』(IBCパブリッシング)
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