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ニュースで学ぶ与信管理と債権回収  
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2025年10月1日
 
 
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━━━━━━━━━━VOL.1379(2025年10月1日号)━━━━

こんにちは。
ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。

国際情勢が緊迫し、情報戦が激化する現代において、日本の安全保障に関する衝撃的な事実が浮き彫りになっています。

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◆今週のテーマ◆

「日本の『スパイ天国』は国家安全保障の危機か?」

本日は、中国で反スパイ法違反により実刑判決を受けた日本人と、日本で営業秘密漏洩により執行猶予付き判決を受けた中国人研究員の事例を比較する。

そして、日本が抱える深刻な問題、すなわち「スパイ罪」に対する刑罰の軽さについて深く掘り下げていきたい。

まず、中国で起きた日本人拘束事案から見ていこう。

2016年、元日中青年交流協会理事長の鈴木英司氏が中国で拘束され、「スパイ行為」の容疑で懲役6年の実刑判決を受けた。

鈴木氏は日本の情報機関との接触が原因と認定され、2022年10月に刑期満了で帰国している。

中国の反スパイ法は非常に厳格であり、国家の安全に危害をもたらす行為に対しては、刑法第6章「国家安全危害罪」に基づき、情状により10年以上の有期懲役または無期懲役、さらには死刑が科される可能性もあるほどだ。

これに対し、日本で起きた事例はどうだろうか。

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の中国人元主任研究員である権恒道被告(61)は、産総研が保有するフッ素化合物に関する研究データを中国企業にメールで漏洩した。

この企業は被告の妻が主な株主であったとされている。

この事件に対し、東京地裁は2025年2月25日、不正競争防止法違反の罪で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、罰金200万円の判決を言い渡した。

実刑を伴わないこの判決は、中国の事例と比較すると、その刑罰の軽さが際立っている。

この日中両国の事例を比較すると、日本におけるスパイ関連犯罪に対する刑罰が著しく軽いことが明らかになる。

その主な理由は以下の3点に集約される。

1.包括的なスパイ罪の欠如

日本には、中国の反スパイ法のような、国家の安全保障を包括的に保護する「スパイ罪」を直接規定する法律が存在しない。

スパイ行為とみなされる行為は、不正競争防止法(営業秘密漏洩)、特定秘密保護法(特定秘密の漏洩)、自衛隊法(防衛秘密の漏洩)など、個別の法律で処罰される。

しかし、これらはスパイ行為そのものを直接的に処罰するものではなく、刑罰も相対的に軽い傾向にある。

2.刑罰の軽さ

不正競争防止法における営業秘密侵害罪の刑罰は、個人に対して最大で10年以下の拘禁刑だが、今回の産総研の事例のように執行猶予が付されるケースも少なくない。

これは、国家の安全保障を脅かす行為に対する抑止力として不十分である可能性が指摘されている。

3.「国家安全」の定義の差異

中国の反スパイ法は「国家安全」の概念を広範に解釈し、情報収集活動全般をスパイ行為とみなしている。

これに対し、日本はより限定的な定義に基づいており、国家の安全保障に対する直接的な脅威とみなされる行為にのみ重い刑罰を科す傾向があるため、結果として刑罰が軽くなる傾向にある。

・営業秘密侵害罪(不正競争防止法)
個人:10年以下の拘禁刑または2000万円以下の罰金(併科あり)。
法人:5億円以下の罰金。
営業秘密の不正取得、使用、開示などを処罰。

・特定秘密の漏洩罪(特定秘密保護法)
10年以下の懲役(情状により10年以下の懲役および1000万円以下の罰金)。
国の安全保障に関する特に秘匿性の高い情報を対象。

・防衛秘密の漏洩罪(自衛隊法)
5年以下の懲役または50万円以下の罰金。
防衛に関する秘密を対象。

鈴木氏の事例と産総研の中国人研究員の事例の比較から、日本におけるスパイ関連犯罪に対する刑罰が中国と比較して著しく軽いことが明らかになった。

日本には包括的な「スパイ罪」が存在せず、個別の法律で対応しているため、国家の安全保障を脅かす行為に対する抑止力が不十分である可能性が指摘される。

これは、国際的な情報戦が激化する中で、日本の国家安全保障上の脆弱性となり得る深刻な問題である。

私たちは、この現状を認識し、日本の法制度の見直しと、より厳格なスパイ対策の必要性を強く訴える必要がある。

企業においては、これまで以上に情報管理の徹底が喫緊の課題である。

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★編集後記★

2025年もあと3か月となりましたね!
本当に早いものです。

☆次回は10月8日発行予定です。

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◆発行者の著作
『海外取引でよく使われる与信管理の英語』(IBCパブリッシング)
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