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━━<与信管理メルマガの草分け>━━━━━━━━━━━━━
■ニュースで学ぶ与信管理と債権回収■ 総発行部数2,671部
━━━━━━━━━━VOL.1372(2025年8月6日号)━━━━
こんにちは。
ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。
今日は米国の企業倒産の最新動向を取り上げたいと思います。
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<このメルマガの目的>
最新のニュースを題材にして、与信管理、債権回収に関する最新の手法や情報を毎週提供する。
審査、与信管理、債権回収を専門としている人向けメルマガ。
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◆今週のテーマ◆
「最新米国倒産動向〜トランプ関税の影響は?」
US Bankruptcy Courtsによれば、2025年6月末時点で直近12か月の企業倒産件数は、
前年同期比で4.5%増加した。
3か月前の2025年3月と比較すると伸び率はマイナス10ポイントと大幅に鈍化した。
下記がChapter別の件数と合計数である(カッコ内は前年同期の数値)。
Chapter 7 13,314件(11,627件)
Chapter 11 7,900件(8,341件)
Chapter 13 1,319件(1,592件)
その他 510件(500件)
合計 23,043件(22,060件)
Chapter 7は日本の破産に相当する清算型の手続きだが、前年同期比で14.5%増加した。
一方、Chapter 11は日本の民事再生法に相当する再建型の手続きだが、こちらは5.3%の減少だった。
3か月前の2025年3月時点の集計と比較すると、米企業倒産件数は1.1%の微減となった。
コロナ禍終了後から急増した米国の倒産件数は、増加しているものの、わずかな増加幅である。
全体の数は増加しているものの、すでに一部では反転の兆しも見られ始めている。
トランプ関税がこれ以上の混乱を招かない限り、倒産件数は年内には増加から横ばい、あるいは減少に転じる可能性もある。
Chapter 11のような再建型手続きの減少の理由には、スポンサーとして名乗りを上げる企業が減った可能性も考えられる。
ただし、倒産の増加幅が小さくなったと安心するのは早計である。
最大の懸念は、トランプ政権が進める通商政策、すなわち「トランプ関税」の行方にかかっている。
メキシコやカナダなどの近隣国との交渉難航に加え、中国やインドなどの大国との合意のゴールも見えない。
この影響は、単に一国一業種の問題ではなく、サプライチェーン全体に及ぶものである。
特に、メキシコに生産拠点を持つ日系企業などは、米国内への輸出に対するコスト増を強いられ、利益圧迫の懸念が高まる。
それが最終的に、資金繰りの悪化や与信の引き締めを招き、企業倒産という形で表面化する可能性がある。
再建型ではなく、清算型が増えているという事実も、経営環境の厳しさを如実に物語っている。
資金調達コストの上昇、販売不振、そして政策の不透明感。
この三重苦のなかで、中小企業はとりわけ脆弱である。
今後の倒産動向を占う鍵は、「トランプノミクス」の方向性と、それに翻弄される各国の経済対応力にある。
日本企業としても、サプライチェーンの見直しや、為替リスクのヘッジ、資金調達先の多様化など、与信管理の観点からできる備えを、今のうちから講じておくべきだろう。
トランプの一声が世界を揺るがす時代が再び訪れた。
だが、翻弄されるだけでなく、その中でいかに冷静な備えを進められるかが、企業の明暗を分ける。
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★編集後記★
先週末、青森と秋田に行ってきました。
全国の登れる灯台16基を踏破しているのですが、これで残り3基となりました。
来年には達成できそうです。
☆次回は8月20日発行予定です。※来週はお盆でお休みします。
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