前回は輸出の禁止や規制対象を取り上げたが、輸入についても同じように、禁止されていたり、規制されている品目がある。禁止されているものを輸入した場合には、関税法等で処罰されることとなる。
1.麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤及びあへん吸煙具
2.けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
3.爆発物
4.火薬類
5.化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
6.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第20項に規定する一種病原体等及び同条第21項に規定する二種病原体等
7.貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード(生カードを含む)
8.公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
9.児童ポルノ
10.特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
11.不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号までに掲げる行為を組成する物品(知的財産侵害物品)
◆税関ホームページ
また、上記以外の貨物でも、国内法令によって輸入の規制が行われているものもある。
こうした規制の対象となっている貨物を輸入しようとする場合は、各法令の規定に基づいて許可、承認を受ける必要がある。
輸入申告や審査、検査の際にその旨を税関に証明しないと輸入が許可されない。
また、外国の政府機関等の証明等を取得していないと許可、承認が受けられないものもあるので、事前に注意が必要だ。
◆法令名と主な品目
1.外国為替及び外国貿易法 にしん、鯨、ワクチン等
2.鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
鳥及びその加工品、獣及びその加工品、鳥類の卵
3.銃砲刀剣類所持等取締法
けん銃、小銃、機関銃、猟銃、空気銃、刀、やり及びなぎなた、剣、あいくち並びに飛び出しナイフ等
4.印紙等模造取締法 印紙に紛らわしい外観を有するもの
5.毒物及び劇物取締法 毒物、劇物
6.大麻取締法 大麻草、大麻草製品
7.覚せい剤取締法 覚せい剤、覚せい剤原料
8.麻薬及び向精神薬取締法 麻薬、向精神薬、麻薬等原料
9.あへん法 あへん、けしがら
10.薬事法
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、指定薬物、動物用医薬品、同医薬部外品、同医療機器
12.水産資源保護法
こい、きんぎょその他のふな属魚類、はくれん、こくれん、そうぎょ、あおうお、さけ科の発眼卵及び稚魚、くるまえび属の稚えび
13.肥料取締法 肥料
14.農薬取締法 農薬
15.砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 砂糖、でん粉
16.加工原料乳生産者補給金等暫定措置法 バター、脱脂粉乳、練乳等
17.主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 米殻、麦等
18.火薬類取締法 火薬、爆薬、火工品
19.高圧ガス保安法 高圧ガス
20.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 化学物質
21.石油の備蓄の確保等に関する法律 石油、揮発油、灯油及び軽油
22.郵便切手類模造等取締法 郵便切手類に紛らわしい外観を有するもの
23.アルコール事業法 アルコール分90度以上のアルコール
24.食品衛生法
すべての飲食物、添加物、食器、容器包装、おもちゃ等
25.植物防疫法 植物、有害植物、有害動物
26.狂犬病予防法 犬、猫、あらいぐま、きつね、スカンク
27.家畜伝染病予防法
偶蹄類の動物、馬、鶏、あひるなどの家きん、兎、みつばち及びこれらの動物の肉、ソーセージ、ハム等、稲わら
28.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
サル、プレーリードッグ等
29.特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
ブラックバス、カミツキガメ等
◆税関で確認する輸入関係他法令の概要
実に多岐にわたって規制されているが、一般の企業にとっては、食品関連が一番関連が深かそうである。
食品衛生法では、販売用、あるいは営業上使用する全ての食品、添加物、器具、容器包装、乳幼児用おもちゃの輸入について、そのつど厚生労働大臣に届け出なければならない旨を定めている。
これらの貨物を輸入しようとする場合は、検疫所に「食品等輸入届出書」を提出し、食品衛生監視員から交付を受けた届出済印等が押なつされた「食品等輸入届書」を税関に提出し確認を受ける。
確認を受けた後でなければ輸入は許可されない。
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