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【 初めての海外取引 第10回 「支払情報」 】 |
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英文の信用調査レポートを見る2つ目のポイントは、支払情報である。
(1)格付け
(2)支払情報
(4)回収代行履歴
(5)担保設定
(6)銀行取引
日本と違って、欧米では支払情報が入手できる。根底には、Trade Reference(信用照会)という企業文化があるからだ。
信用照会とは、新規で信用取引を行う顧客の主要仕入先に対して、支払状況を照会すること。
通常、3〜5社ぐらいリストアップしてもらい、連絡を取る。主要仕入先は支払情報を必ず開示しなくてはいけないわけではない。
自分の会社も信用照会を行い、反対に情報の提供を求める立場になりうるため、ギブアンドテイクの精神で情報を開示する。
この信用照会は、両者間に面識がなくても、成立する。電話やFAX、メールで情報交換が行われる。
こうした企業文化が、信用調査会社にとって支払情報を収集する基盤となっている。
また、近年、海外の与信管理においては、支払情報の重要性が増している。決算書に比べて、利点が上回っているからだ。主な利点は次の2つ。
(1)情報の鮮度
(2)情報の信ぴょう性
(1)情報の鮮度
決算書が入手できるのは、四半期決算を行わない未上場企業の場合、年に一度きり。しかも、最新とは限らない。国にもよるが、大体6〜9か月かそれ以上である。
これだけ変化の速い時代に、9か月前の企業の財務状態を分析することにどれだけの意味があるのか?
支払情報の場合、例えば、2月に信用調査レポートを入手すると、もう1月の支払情報が掲載されている。実にタイムリーである。
(2)情報の信ぴょう性
支払情報は、取引先から入手するため粉飾できない。遅延している取引先に対して、期日払いと答えてくれと依頼するのは難しい。
信用照会の場合は、期日通りに支払いをしている取引先を教えることによって、情報の操作は可能である。
しかし、信用調査会社は、大規模に支払情報を収集しているし、情報の取捨選択権は調査対象会社にはない。
したがって、自社に都合のよい情報だけが掲載されるとは限らない。
支払情報を見る上では、遅延の有無と金額、業種を確認する。同業者の情報があれば参考にするし、異業種の場合は取引金額と同程度の情報を参考にする。
また、全体的な傾向やトレンドもチェックする。日本と違い、海外企業では優良企業でも、支払遅延があることが珍しくない。
支払情報全体に占める遅延の割合や金額の大小に着目するとよいだろう。
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