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| 「社長の社外活動が経営に与える影響」 「白い恋人」で有名な北海道の石屋製菓で、賞味期限の延長などの不正が発覚 し、全商品の回収と生産停止に追い込まれた。 また、この不祥事の責任と取る形で2代目社長である石水勲が辞任し、経営再 建のためにメインバンクの北洋銀行から新社長を受け入れた。 石屋製菓は北海道では数少ない優良企業である。2007年8月18日付の日本経 済新聞によれば、同社の2007年4月期の連結売上は92億円で、経常利益が 22億円となっている。 実に、経常利益率23.9%の高収益企業である。食品製造業の経常利益率の平均 が2.39%(平成18年、東京商工リサーチ調べ)と比較すると、実に10倍の差 がある。また、一人当たり経常利益も550万円と生産性もかなり高い。 今回の不祥事の経緯を詳しく見てみよう。 (2007年8月17日付日経産業新聞より) 5月5、6日 返品商品の再包装と賞味期限の改ざん 6月下旬 賞味期限改ざんの告発メールが同社に届くが対策取らず 6月30日 アイスから大腸菌を検出 7月5、6、25日 上記を公表せずにアイスを店頭から回収 7月28日 バウムクーヘンから黄ブドウ菌を検出 8月9日 札幌市保健所にアイスの無断回収が内部通報 8月14日 自主回収を発表、店頭から商品撤去開始 8月15日 北海道、札幌保健所が立ち入り調査 8月16日 96年以降の賞味期限延長を公表、全商品の生産中止と回収 8月17日 石水社長が引責辞任 8月23日 北海道がJAS法違反で同社に業務改善の行政処分 現在、同社のサイトはこんな状態となっている。 http://www.ishiya.co.jp/index_j.html ほとんどの不祥事の例がそうであるように、今回の不祥事発覚の引き金となっ たのも、内部告発であった。しかも、8月9日札幌保健所に告発される1ヶ月 前に内部告発のメールが同社に届いている。この時点で今回の不祥事を公表し ていれば、ここまで事件は大きくならなかったかもしれない。 96年に開発した高機能の包装で製造後1年たっても、味がほとんど変わらない ことで自信を深めたらしく、4ヶ月の賞味期限を日常的に延長していた。実に、 過去10年以上にわたり不正を続けていたことになる。 賞味期限切れの商品を廃棄せずにまた販売することで、一体、どの程度のコス ト削減になるのか詳しい数字は分からない。せいぜい、数パーセントの範囲で はないかと推測される。 セブンイレブンを始めとするコンビにでは、期限切れの廃棄処理を徹底してい る。知人のコンビニのオーナー曰く、「実際はまだ食べれるのにもったいない。 仕方ないから家族でいつも食べている。」そうだ。 たしかに、環境問題や世界の食糧問題がクローズアップされる現代においては、 期限切れ食品の大量の廃棄は改善すべきことかもしれない。それでも、こうし た無駄がセブンイレブンなどのコンビニの信用につながっているのは事実だ。 やはりと思ったのが、石水社長の公職など社外活動の多さだ。 Jリーグのコンサドーレ札幌のスポンサー、札幌商工会議所幹部、札幌市長選 で有力候補の後援会長(2007年8月17日付日経産業新聞より)。 社長が公職についたり、社外の活動に力を入れるというのは、よく言われると おり、経営不振や不祥事発生の兆候でもある。つまり、こうしたことの背景に は経営者の慢心があるからだ。 自分の会社の経営が安定してきたから、地元に恩返しをしたい、社会に貢献し たいと経営者が考えるのは当然のことであり、評価されるべきことでもある。 しかし、そのために自社の経営をないがしろにし、不祥事が起きたり、業績が 悪化したりすれば、本末転倒である。 経営者の社会貢献とは、まさに企業経営そのものであり、雇用創出であり、納 税責任なのだ。 経営者の慢心という意味では、現役経営者の自伝的な出版や過剰なマスコミへ の露出も同じリスクがあると考える。 介護報酬の不正請求で福祉事業のコムスンを手放さざるを得なくなったグッド ウィルの折口社長、労働者派遣法で業務停止となったフルキャストの平野社長 などはその典型である。 「プロ経営者の条件」折口雅博 2005年7月発売 「満天の星」平野岳史 2006年1月発売 同じ北海道で、牛肉偽装事件で自己破産に追い込まれたミートホープ社と違い 石水製菓の財務体質はかなり良い。また、メインバンクが社長を送り込み、全 面支援する方針を発表している。 そういう意味では、同社が経営的に破たんする可能性はそれほど高くないと思 われる。しかし、コンプライアンス体制の確立に手間取り、生産停止が長引け ば、同社の売上の8割を占める看板商品だけに収益にも大きな影響を及ぼすの は間違いない。 業歴30年超のいわゆる老舗企業の破たんは、近年増加傾向にある。奇しくも 同社は、今年創業30年を迎えた。幸いにして今回の事件で、消費者の健康面 での被害は出ていない。これを機に品質管理体制を一新すれば、北海道を代表 する高収益企業の地位を維持することも可能なはずだ。 ────────────────────────────────── ◆今日のまとめ◆ 経営者が公職についたり、社外の活動に力を入れたりするというのは、経営不 振や不祥事発生の兆候である可能性がある。自社の経営が安定し、経営者が慢 心している場合があるからだ。 ────────────────────────────────── |
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