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【 初めての海外取引 第15回 「L/Cの仕組み」 】 |
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前回より、貿易において採用される主な決済条件を解説している。
(1)Advance Payment(前払い)
(2)a. Confirmed L/C(確認信用状)
(2)b. L/C(信用状)
(2)c. Stand-by L/C(スタンドバイL/C)
(3)D/P(手形支払書類渡し)
(4)D/A(手形引受書類渡し)
(5)Open Account(オープンアカウント)
今回は、L/C(信用状)について説明しよう。
L/C、Letter of Creditとは、荷為替取引における銀行が行う一種の支払保証である。
輸入者は、L/Cを開設するためには、ある程度の信用力が必要である。銀行は、L/Cの発行に際して輸入者の審査を行う。
銀行が支払を保証することから、銀行が倒産しない限り、支払は保全されている。こうした意味で、一種の担保付取引とも考えられている。
輸出に際して、L/C取引を行う場合の流れを見てみよう。輸出者を日本商事、輸入者を香港商事とする。開設銀行をHSBC(香港上海銀行)、通知銀行をMUFG(三菱東京UFJ銀行)としよう。
(1)香港商事は、輸入地の銀行であるHSBCでL/Cを開設する。HSBCをIssuing Bank(開設銀行)と呼ぶ。HSBCは、輸出地の銀行であるにMUFGにL/Cを送付する。
(2)L/Cを受け取ったMUFGは、L/Cの到着を日本商事に通知する。MUFGをAdvising Bank(通知銀行)と呼ぶ。通知を受けた日本商事は、L/Cの条件に従って商品を準備し、船積書類と共に船会社に出荷を依頼する。
(3)依頼を受けた船会社は、出荷の証としてBill of Lading(船荷証券)を作成して、日本商事に渡す。一方、保険会社は保険証券を作成して日本商事に渡す。
(4)日本商事は、船荷証券と保険証券に加えて、Bill of Exchange(荷為替手形)を発行して、MUFGに手形の買取りを要求します。なお、通知銀行とNegotiation Bank(買取銀行)は異なる銀行でも良い。
(5)MUFGは、L/C、B/L、B/Eの内容を確認して、条件が一致していれば、手形を買い取る。つまり、代金を日本商事に支払う。MUFGは、HSBCに手形と書類を送り、手形代金の払い戻しを要求する。
(6)HSBCは、L/Cの内容と書類を確認して、クリーンであれば、香港商事に書類の到着を案内して、書類を買い取ってもらう。香港商事は、書類を船会社に渡して商品を引き取る。HSBCは、代金を受け取り後、MUFGに支払う。
この流れを読んだだけでも分かるように、L/Cを使った取引は、関与する当事者も多く、複雑である。書類に関する正確さが要求され、手続きが煩雑である。
その分、輸出者としては代金回収のリスクを減らすことができる。
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