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「急増する不動産業の倒産」

7月の初めに、リクルートコスモスの役員の退職記念のパーティーに顔を出し
た。そこには、現役社員はもちろん、OBも数多く出席していた。もちろん、
その多くは不動産関係の会社を創業したり、転職後に勤務したりしている。

私のように業界外で仕事をしているOBの方が少ないほどである。久しぶりに
再会したかつての上司や先輩、同期に近況を尋ねると、皆一様に芳しくないと
いう答えが返ってきた。

奇しくも、その日、7月18日にはOBが創業したゼファーが東京地裁に民事再
生法を申請し、倒産していた。その後は、マツヤハウジング、ダイドー住販、
アーバンコーポレーション、セボン、創建ホームズと大型倒産が続いた。

そして、9月に入っても、エフイーシー、協和興産、Human21と不動産関係の
倒産が続いている。

東京商工リサーチの調べによれば、7月の不動産業の倒産は前年対比で222.2%
の大幅増加となった。8月も23.5%の増加となっている。

不動産業がなぜ苦境に立たされているかは、色々なところで解説されていると
おりである。簡単にまとめると次の5点が要因ではないか。

1.建築基準法改正による建築確認取得の遅れ
2.建築資材など原材料の高騰
3.不動産の値上がりによる実需の冷え込み
4.サブプライム問題によるファンドの一棟買い、不動産証券化の急減
5.金融機関の不動産業に対する融資厳格化

また、最近の不動産業の倒産の中には直近の決算が黒字であったのに、突然倒
産というパターンも見られる。スルガコーポレーションは78億、アーバンコ
ーポレーションは311億の純利益を2008年3月期に計上していた。

では、こうした企業の決算に破たんの兆候はなかったのかというとそうではな
い。当座比率、棚卸資産回転率、営業キャッシュフロー等の指標にその兆候は
現れていたのだ。

最近倒産した、不動産関係の上場4社を見てみよう。


当座比率 棚卸資産回転率 有利子負債月商倍率 営業CF

スルガ 11.2%1.2回3倍418億円
アーバン 19.2%0.6回20倍▲550億円
創建ホームズ 5.5%1.2回9.5倍▲75億円
Human21 8.6%1回18.8倍▲99億円

当座比率は流動比率よりも厳しく企業の流動性、資金繰りを見ている。一般的
には100%以上と言われるが、不動産業では30〜40%が平均だ。それでも、4
社中3社が平均の半分にも達していなかった。

棚卸資産回転率も一般的には7〜8回だが、不動産業は2回程度。4社ともこの
水準に達しておらず、過大な在庫を抱えていたことがわかる。

有利子負債月商倍率は一般的に4倍を超えると危険と言われる。12倍以上は年
商を超す有利子負債を抱えていることを示す。

損益計算書上では黒字を確保していても、実際のキャッシュの流れで見ると4
社中3社が大幅なマイナスだった。つまり、実際には儲かっていなかったのだ。

こうしてみると、スルガコーポレーションはこの4社の中で、比較的財務内容
がよかったように見えるが、同社の有価証券報告書にはしっかりと、「継続企
業の前提に関する重要な疑義」の注記が記載されていた。

特に在庫を抱える不動産デベロッパーは、流動比率が良好になりがちである。
その場合は、当座比率の方が実情を把握できる。こうした指標を中心に不動産
関連の取引先の財務内容を今一度、精査することをお勧めしたい。

実は、8月29日にはコスモス時代の同期が創業した都市デザインシステムも民
事再生法を申請し破たんした。一時は上場を目指し、同期の出世頭であった彼
の会社の倒産は、私には大きなショックだった。

同社が再生手続きを経て再起することを祈りたい。
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◆今日のまとめ◆

不動産関連の倒産が増加している。在庫を抱える不動産デベロッパーは、流動
比率ではなく、当座比率、棚卸資産回転率等で財務内容を検証すると良い。

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