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「ニュースで学ぶ与信管理と債権回収」
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「上場企業の倒産〜みらい建設、民事再生法申請」

東証一部のゼネコン、みらい建設グループが9月27日東京地裁に民事再生法
の適用を申請した。負債総額はグループ全体で約600億円。

倒産の主な理由は、公共工事の減少による売上の減少、入札透明化による利益
率の圧迫などである。

今回は久しぶりに倒産企業の直近の決算書の分析を行ってみたい。分析対象は
グループの中核企業であるみらい建設工業株式会社の2007年3月期。

<安全性> (%)    2006年    2007年
流動比率         142.1     117.6
当座比率         113.2     97.0
自己資本比率       12.9      5.3
負債比率         672.5     1,775.0
固定比率         113.2     97.0

<効率性> (回)
売上債権回転率      2.3      1.9
仕入債務回転率      3.1      2.3

<収益性> (%)
営業利益率        2.1      -3.1
経常利益率        1.8      -3.4
当期利益率        1.2      -10.8

<過去3年間の業績の推移> (百万円)   (千円)
2007年          63,745     -6,886
2006年          46,142     173
2005年          42,243     -1,113

特筆すべき点は何と言っても、利益率の低さである。過去3期のうち2期は大
幅な赤字。黒字であった2006年も利益率はわずか0.4%に過ぎない。

確かに、売上自体は過去3年間では増収基調であった。特に、2007年は売上
が38%も増加している。しかし、売上原価は同時期に48%も増加した。

これは、独禁法の改正と政府の構造改革により、公共工事において談合排除が
強化されたために、入札価格が総じて低くなったことが要因と思われる。一方
では、人員は3割以上も増加しており、無理な受注、安値受注により売上を確
保していたと推測される。

ほかに着目すべきは、自己資本比率が半分以下と脆弱になり、負債比率が2倍
以上に膨れ上がった点である。また、当期利益が経常利益に比べて大幅に悪化
したのは、赤字転落により31億の繰延税金資産が取り崩され、43億もの法人
税等調整額が課されたため。

唯一、固定比率が好転しているのは繰延税金資産の消滅による固定資産の大幅
な減少による。また、流動性についても当座比率は100%近くあり、50%以下
という危険水準にあったわけではない。

日経新聞によると、同社は2007年3月期決算で大幅な赤字に陥り、財務体質
が悪化し、32の金融機関と結んでいるシンジケートローンの財務制限条項に抵
触した。

その結果、借入金の延長には全ての金融機関の同意が必要となった。9月末に
返済期限が到来する借入金34億円のリスケを要望するも、一部の金融機関が
難色を示し、資金繰りに行き詰まった。

財務制限条項(Financial Covenants)とは、融資や与信の条件として一定の財
務比率や絶対額を設定し、それを下回った場合に、債務者が期限の利益を喪失
するなどの条件を課す条項のこと。

推測するに、債務者の自己資本比率が10%を下回った場合、返済期日の延長に
は全債権者(金融機関)の書面での承諾を必要とするなどという条項が盛り込
まれていたのではないか。

こうした財務制限条項がないにしても、自己資本比率が10%を下回ることは債
務超過のリスクが高まっている証拠である。参考までに、ゼネコンの平均的な
自己資本比率は30%程度である。

公共工事の削減と入札の徹底による利益率の低下により赤字に転落し、繰延税
金資産の取り崩しにより、自己資本比率が大幅に悪化、最終的に金融機関に見
放されたことが倒産の原因だといえる。

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◆今日のまとめ◆

売上が増加基調であっても利益率が大幅に低下したり、赤字に転落したりすれ
ば、自己資本を圧迫し、長期的に債務超過や倒産のリスクがある。

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「企業が倒産にいたる道程〜NOVA、会社更生法申請」

英会話大手のNOVAは2007年10月26日、大阪地裁に会社更生法の適用を申
請した。負債総額は439億円。ジャスダック証券取引所は同27日付けで上場
廃止にした。

同社は「お茶の間留学」をキャッチフレーズに駅前立地の教室と長期に渡る受
講料の前払いシステムで急成長した英会話教室である。もちろん、こうした成
長戦略を支えたのが、NOVAウサギに代表されるユニークなTVCMである。

派手なCMでお茶の間の話題をさらい、急成長していたNOVAは一体どこで歯
車が狂ったのだろうか。

同社が倒産に至る経緯を振り返ってみよう。

1981年8月 有限会社ノヴァ企画創業。
9月 大阪の心斎橋に「駅前留学」1号店出店
1986年1月 東京進出
1990年8月 株式会社ノヴァ設立
1993年9月 語学教育業界でのシェアトップに
1996年11月 店頭公開(現在のJASDAQ)
1999年3月 NOVA KIDS全国展開
2001年9月 「お茶の間留学」24時間サービス開始
2002年3月 売上560億円、2億6千万円の赤字
2002年9月 NOVAうさぎのCM開始
2003年3月 610億円、利益1億円
2004年3月 売上670億円、利益4億6千万円
2004年7月 中途解約時の受講料返還訴訟で敗訴
2005年以降 中途解約の受講料返還における敗訴が増加
2005年3月 連結売上750億円、利益2億円
2006年3月 受講生数48万人に。30億の赤字に転落(連結売上700億)
2006年11月 あずさ監査法人辞任
2007年2月 経済産業省立ち入り検査
3月 連結売上570億円、25億円の赤字
    4月 最高裁が中途解約に関して受講者に不利な約款は無効と判断
    6月 経済産業省が行政処分。
    6月末 第1四半期連結売上が32%減少し93億円、24億の赤字
7月 給与未払の報道、7月分給与を8月1日に支払
    8月〜家賃滞納で教室閉鎖が相次ぐ
    9月 労働基準監督署が給与遅配で是正勧告
    10月5日 労働基準監督署が給与遅配で再び是正勧告
    10月9日 2億株の新株予約権の発行を発表(64億円調達予定)
    10月初旬  監査役3名が退任
10月中旬  取締役1名が退任
10月22日 ノヴァ教職員組合ストライキを実施
    10月24日 新株予約権の発行
    10月26日 緊急役員会を開催、会社更生法申請に

興味深いのが、NOVAが最高売上を達成した2005年は増収減益となっている
点だ。2004年の売上は単独決算の数字なので、単純に比較はできないが、売上
が大幅に増加している一方で利益額は半分になっている。

また、この間に中途解約時の受講料返還訴訟で敗訴となり、以降同様の訴訟が
相次ぎ敗訴が増加している。2006年、好調なCMのおかげで受講者数は増加
したが、6%の減収で赤字転落となっている。

そして、あずさ監査法人の退任である。

2007年は24%もの大幅な減収で、2期連続の赤字、自己資本比率は5.1%にま
で低下。流動比率も危険領域である53%まで急落。長期借入金が37億から9
億に激減。銀行に返済を迫られたか。

経済産業省から6月に行政処分を受け、1年を超える新規契約を6ヶ月間締結
することができなくなり、受講生離れに拍車がかかった。

経済産業省が行政処分に至ったのは、多額のレッスン料を前払いしているのに
も関わらず、レッスンの予約が取れないと受講生からクレームが多発したため。

この結果、新規受講者は激減する一方で、既存受講者の中途解約も急増し、財
務状態は更に悪化した。

第1四半期の決算では自己資本比率が債務超過すれすれの0.75%まで低下。流
動比率も41%に。

倒産までの過程を簡素化してみるとこうなる。

クレーム増加

訴訟に発展

敗訴

敗訴増加

赤字転落

監査法人辞任

大幅な減収、2期連続赤字

行政処分

受講者激減

給与遅配

家賃滞納

給与未払

労働基準監督署より勧告

監査役、役員退任

倒産

ひとつの転換期は2004年7月の東京地裁における受講料変換訴訟での敗訴で
ある。これをきっかけに、受講者からの訴訟が増加し、同社の経営を圧迫する
と同時に、受講者減少を招くことになる。

結局は、同社の成長戦略を支えた前払い方式が裏目に出たというわけだ。受講
者の訴訟はいきなり提訴されるわけではない。

必ず事前に同社にクレームをしているはずだ。こうした顧客からの声、要望、
クレームに耳を傾けなかったワンマン社長の経営姿勢に問題があった。

私自身も、友人から同社の強引な営業姿勢や中途解約時の返金の計算方法に対
する疑問など10年以上前から聞いていた。こうした受講者の声があっても急成長できたのは、駅前戦略とCMによるところが大きかったのだろう。

ましてや、同社の場合は消費者生活センターに1800件もの苦情が寄せられて
いた。

破綻後に猿橋前社長の社長室はマスコミに公開された。家賃が270万円で改装
費に7千万もかかったと言う。

黒字だった2006年の営業利益率で0.6%と収益性が極端に悪い会社なのに、全
く利益を生み出さない社長室にそこまで投資するとは、とても健全な投資判断
と思えない。

この投資判断をした時点で、NOVAは倒産の第1歩を踏み出したと言える。

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◆今日のまとめ◆

クレームの増加が訴訟につながり、行政処分の対象となり、会社が破綻するこ
ともある。利益率、自己資本比率の低い会社では、2期連続の赤字は赤信号で
ある。

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「中国、労働契約法施行」

「労働契約法」が2007年6月29日、全国人民代表大会常務委員会により承認
され、2008年1月1日より施行される。

労働契約法全文の日本語訳
http://www.jetro-pkip.org/upload_file/2007081034832237.pdf

新法では、労働者保護の視点で改正されており、労働者の権利が明確に規定さ
れている。主なポイントは以下の通り。

(1)書面による労働契約の締結違反の罰則新設(労働契約法10、11条)

(2)固定期間のない労働契約の締結義務(同12〜15条)

(3)解雇時の経済補償金の支給(同46、47条)

(1)書面による労働契約の締結(労働契約法10、11条)

現行の労働法でも、使用者は労働者と書面での労働契約を締結する義務がある
と定めているが、これに罰則規定を設けた。

使用者は労働者の勤務開始から1ヶ月以内に労働契約を書面で締結しなくては
ならない。1ヶ月を超え1年以内に労働契約を締結しない場合は、使用者は労
働者に毎月2倍の給与を支払わなければならない。

1年経っても、契約を締結しないと固定期間のない労働契約を締結したと見な
される。

(2)固定期間のない労働契約の締結義務(同12〜15条)

正確には「固定期間のない労働契約」であるが、日本流に言えば終身雇用制で
ある。勤続年数10年以上の労働者が固定期間のない労働契約を望む場合は、
使用者はこれを拒否することができない。

また、勤続年数に関わらず、固定期間のある労働契約を2回連続して締結した
労働者も、固定期間のない労働契約を選択することができ、使用者はこれを拒
否することができない。

ただし、例外規定として、同法39条、40条第1項、2項に該当する場合はこ
の限りではないとなっている。例えば、著しい就業規則違反や職務怠慢があっ
たり、不正を働いたり、採用条件に合致していないことが証明された労働者に
ついては、使用者は拒否することができる。

(3)解雇時の経済補償金の支給(同46、47条)

使用者が法律の規定に違反して労働契約を解除又は終了する場合、労働者に経
済補償金を支払わなければならない。ただし、労働者が同一条件あるいは、よ
り良い条件での契約更改を拒んだ場合はこの限りではない。

経済補償金は労働者の勤務年数により、1 年ごとに賃金1ヶ月分が基準となる。
6ヶ月以上1 年未満は1 年、6ヶ月未満は半月分となる。

労働契約法の施行のみならず、近年の人件費の急騰もあり、安価で豊富な労働
力を求めて中国に工場を進出した企業の中には、方針の見直しを迫られるとこ
ろも出ている。

終身雇用という概念のある日本企業はまだ良いものの、そうではない欧米企業
にとっては不測の事態であろう。

中国企業の中にも、国営企業時代に逆戻りは大変とばかり、全社員を解雇し派
遣会社と契約させ、派遣社員にするという荒業に出た企業もあるなど混乱が起
こっている。

一方では、中国人の職業感覚はかなり米国人に近く、生涯を一つの会社に捧げ
るなどという忠誠心は皆無に等しい。むしろ、スキあれば自分を高く売り込ん
でより良い待遇のところに転職しようと目を光らせている。こうした傾向は、
若年層ほど顕著といえる。

また、労働契約法では3ヶ月以上の労働契約においては、1ヶ月の試用期間を
認めているので、使用者はこれを有効に活用することもできる。

労働契約法の施行を機に、日本企業の良さである人材を育てる方針を中国でも
実施していけば、中国では欧米企業に比べ低い日本企業の評価も上がるはずだ。

そう考えると、労働契約法の施行が劇的な人件費増加にはつながらない可能性
もある。むしろ、貧富の差が拡大する中国において、劣悪な就業関係が問題と
なっているが、悪質な使用者から労働者の権利を守るという立法趣旨に合致し
た展開となるかもしれない。

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◆今日のまとめ◆

中国の労働契約法が1月1日より施行される。企業は10年以上勤続する労働
者、あるいは固定期間のある労働契約を2回以上更新した労働者に対して、固
定期間のない労働契約の締結が義務付けられる。

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