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| 「債務者の支払能力」 債権回収の戦略を立てる上で、債務者の支払能力を見極める必要性があると良 くセミナーで申し上げる。支払能力のない債務者は、強制執行の対象となる資 産がないからだ。最低でも、債務者の不動産の所有状況及び抵当権の有無など は確認しておきたい。 本メルマガの読者であれば充分ご承知だとは思うが、初心の方もいるので念の ため申し上げておくと、債権回収において裁判を起こしても、「勝訴=回収」 ではない。 第1審で勝訴しても債務者が上訴すれば、また上訴審で争うことになる。民事 であれば、上訴期間内に債務者が上訴しなかったり、上訴権を放棄したり、上 訴しても裁判所から上訴が棄却されれば、判決が確定する。 裁判に勝ち晴れて確定判決を取得しても、直ちに債権回収にはつながるわけで はない。債務者が勝訴判決に応じて、任意で支払をして初めて回収につながる。 確定判決とは、上訴などの不服申立て方法では争うことができなくなり、確定 した判決をいう。 任意で支払をしない場合は、強制執行により債務者の財産を差し押さえて、差 し押さえた財産を競売や任意売却などにより換金して初めて回収となる。 ここで問題となるのが、強制執行の対象となる財産の特定である。残念ながら、 裁判所は強制執行に際して債務者の財産を調査したり、探したりする義務も権 利もない。 債権者側で資産調査を行い、強制執行の対象となる債務者の財産を特定し、裁 判所に示す必要がある。 もちろん、債務者の給与を差し押さえるのであれば、勤務先を調べるだけでこ と足りる。しかし、差し押さえることができるのは給与の4分の1に過ぎない。 ただし、債務者の給与が44万円を超える場合は33万円を超える全額を差し押 さえることができる。 あるいは、債務者がご丁寧に自宅にたんす預金してあれば、財産を特定する必 要はなく、その住所を示すだけでこと足りる。しかし実際のところ、ここまで 来ると、債務者の自宅に差押の対象となる価値のある財産は存在しないのがほ とんどだ。 ちなみに、ぜいたく品以外の家財道具は差押できない。また、標準的な世帯の 2ヶ月間の生計に必要とされる66万円以下の現金も差押が禁止されている。 事務所や自宅などの不動産であれば、簡単に調査可能だが、いわゆる隠し財産 となると、資産調査は困難を極める。 漠然と弁護士が、債務者の資産調査を行う権限や能力をもっていると思ってい る人も多いが、弁護士にはそのような権限も与えられていないし、ノウハウも ないことが多い。 そこで考えられたのが、「財産開示手続」である。「財産開示手続」とは、平 成16年4月1日から施行された、債権者が債務者の財産を把握するための民 事執行法における手続きである。 これについては次号で取り上げたい。 ────────────────────────────────── ◆今日のまとめ◆ (1)債権回収において裁判を起こしても「勝訴=回収」ではない。判決が確 定し、債務者が任意で支払をして初めて回収につながる。 (2)債務者が支払いに応じない場合は、強制執行を申し立てることになる。 強制執行の対象となる財産は債権者が特定する必要がある。 ────────────────────────────────── |
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