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◆あなたの顧客が倒産!
〜そんな事態に陥らないために社長、営業マンが学ぶべき与信管理術〜
デ┃キ┃ル┃経┃営┃者┃の┃信┃用┃調┃査┃入┃門┃
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VOL40(2006年1月19日)隔週木曜発行 発行部数2688部
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ナレッジマネジメントジャパンの牧野です。
年頭のご挨拶もしないうちに、早くも1月下旬になってしまいました。今年も
どうぞよろしくお願い申し上げます。
東京地検は16日、ライブドアを有価証券取引法違反の容疑で強制捜査。株式
市場はこのニュースに過剰に反応し、日経平均は2日連続で大幅に下げ、個人
投資家を中心に売り注文が殺到。
18日には株式等の全銘柄の取引停止という、東証始まって以来の前代未聞の事
態にまで発展しました。
東証は、ライブドアの粉飾が事実なら上場廃止もあり得るとして、同社に対し
て詳細な説明を要求しました。
これに対して、ライブドアは19日、社内調査の結果を公表し、問題の取引は
粉飾ではないと真っ向からの反論を展開しました。東証は情報が不十分として、
更なる情報開示の要求を文書で出しました。
一方では、ライブドアの強制捜査という想定外の事件があったとは言え、全銘
柄取引停止という日本の金融システムを失墜させる事態を招いた責任は、東証
自身もまぬかれないのではないでしょうか。
今日はこの事件を題材に、粉飾について取り上げてみたいと思います。
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このメルマガは、独立して間もない、熱血で駆け出しの高橋社長と、与信管理
コンサルタントの山田さんを中心とした物語をベースに構成されています。
経営者や営業が、この物語から信用調査に必要な知識を学ぶという初級者向け
の与信管理講座となっています。
隔週5分程度、このメルマガを読むだけで「与信管理とは何か?」「取引先の
調査はどうやってやるのか?」「登記簿の見方は?」「決算書の簡単な見方」
といったベーシックな知識を身に付けていただくことができます。
また、高橋社長の経営者としての成長ぶりにもご注目いただきたいと思います。
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それでは、第40話のはじまりです。
<登場人物>
高橋拓也:小規模の印刷会社を経営する30歳の若手起業家
山田慎吾:青山クレジットコンサルティングの創業社長
赤木瞳:山田の会社の社長秘書
片岡美穂:青山にある山田の行きつけの小料理屋「えぼし」の女将
<前号までのあらすじ>
与信管理コンサルタントの山田は新米社長の高橋に、取引先に対する与信管理
のノウハウを教えている。高橋は山田から定量分析について学んでいる。突然、
降って湧いたライブドアの事件で高橋社長は大混乱…
◆粉飾決算(特別編)
「まったく、大損しましたよ、ホリエモンのせいで」高橋は怒りで顔を紅潮さ
せながら嘆いた。
「アハハ、人のせいにするなよ、株式は自己責任だからね。」山田は高橋をな
だめるかのように、コーヒーをすすめる。2人は山田の事務所の応接室にいる。
「いくら自己責任だって、情報が粉飾されていたんじゃ、適切な判断だってで
きないですよ。」連日の新聞やTVのニュースで、高橋も少しは勉強したよう
だ。
「まだ、黒ときまったわけじゃないぜ。」
「そうなんですか?だって、強制捜査されたから、ホリエモンは逮捕されるん
じゃないですか?」高橋は驚いた顔で山田を見た。
「そう決まったわけじゃないよ。強制捜査で押収した資料やデータを分析した
上で、検察は起訴を決めるんだ。」
「え?そうなんですか?じゃ、何でこんなに大騒ぎをするんですか?」
「ま、過去に検察が強制捜査して、起訴しなかったケースが少ないからだろう
ね。検察のOBの話では、捜査令状を取得した段階で起訴できる確証はつかん
でいるらしい。」
「やっぱり、起訴されたら、ホリエモンも終わりですね。」
「起訴されたって、有罪と決まったわけじゃないぜ。しかも、公判が開始され、
判決が出るまでに半年から1年はかかるだろう。」
「起訴されたら、ライブドアは上場廃止になるんですよね。」
「違うよ。起訴と上場廃止は別物だから。上場廃止の判断は、最終的に東京証
券取引所が行うんだ。つまり、起訴されても上場廃止にならない可能性もある
し、起訴されなくても上場廃止になる可能性もあるってこと。ただ、上場廃止
の可能性は高いけどね。」
「でも、そうなったら、僕が持っている株はただの紙切れになっちゃうんです
よね。」
「必ずしもそうとは言えないね。ライブドアが存続すれば価値はあるよ。ただ
し、未公開株は市場を通じて取引できないから、売却先を見つけるのが極めて
困難になる。ライブドアが、買取でもすれば別だけど。」
「先生、どうなんですか?やっぱり、ホリエモンは粉飾していたんですか?」
「それは分からないよ。僕が押収した資料やデータを持っているわけでもない
し。」山田はお手上げのしぐさをした。
「でも、日経には『ライブドア、粉飾の手口判明』と言う見出しが一面に出て
いましたよ。」高橋は今朝の新聞を取り出して、山田に見せた。
「確かにこれを見ると、そんな印象を持つね。でも、記事をよく読むと疑問点
も出てくるぜ。」
「え、どういうことですか?」
「記事を元にポイントを整理してみるとこうなる。」山田はボードに書き始め
た。
(1)株式交換名目で新規発行した自社株式の売却益を売上に計上
(2)消費者金融ロイヤル信販から買収前に「コンサルティング料」として数
10億円を支払わせ、同額を売上に計上
(3)買収前にキューズ・ネットから「広告費」として、ライブドアマーケテ
ィング(旧バリュークリックジャパン)に支払わせ、売り上げを1億円水増し
「何か、難しくなってきましたね。もう僕は1番目のポイントから挫折です。」
高橋はもう弱音を上げている。
「うん、これはちょっと難しいね。自社株の売却益は、B/Sの資産に計上され
るべきものなんだ。ライブドアをそれは売上に計上して、利益をかさ上げした
とこの記事では解説している。」
「やっぱ、粉飾なんですかね?」
「単純にライブドアが自社株を売却していたならね。でも、自社株の売却は投
資事業組合、子会社を介して行われているんだ。」
「どういうことですか?」
「まず、ライブドアの自社株の売却をしたのは投資事業組合なんだ。そして、
投資事業組合から子会社の口座に還流。」
「どうやって、還流したんですか?」
「そこまでは記事には書かれていない。とにかく、なんらかの手法で子会社の
口座に戻したんだ。
「それで?」
「ライブドアが、子会社から何かの取引の発注を受けたかのように偽装して、
売却益を代金として受け取り、売上高として計上したわけだ。」
「う〜ん、難しいですね。2番目もどこが問題なのか、僕にはさっぱり分かりません。」
「うん、そうだね。コンサル費用自体を受け取ることに問題はないんだ。私だ
って、クライアントからコンサル費用をいつもいただいているからね。」
「じゃ、何で粉飾なんですか?」
「問題は、金額と業務内容の妥当性なんだ。実際に、数十億円に上るコンサル
業務をライブドアがロイヤル信販に対して行っていたかが焦点になる。」
「なるほど。契約とか交わしているかですか。」
「契約もそうだが、実態が大事だね。数十億円に値するコンサル業務を行って
いたのか。」
「なるほど、ちょっとは状況が分かってきました。え〜と、広告はどこが問題
なんですか?だって、ライブドアはポータルサイトだから問題ないのでは?」
「そのとおり、高橋君、分かってきたね。広告収入を売上に計上すること自体
全く問題はない。」
「すると、ここでも実際に広告を掲載していたか、金額はどうか?ということ
ですね。」
「そのとおりだ。これはコンサルよりも明らかだね。もし、本当に広告を掲載
していたら、その顧客をたまたま買収しただけと言うシナリオが成り立つかも
ね。」
「へ〜こうやって、考えると、必ずしも黒とは言えないかも知れませんね。」
「そうなんだ。しかも、監査法人からはお墨付きをもらっていたらしい。どっ
ちにしろ、全容解明はこれからだね。」
「ただ、もし堀江社長が起訴されたら…」山田は言葉を濁した。(つづく)
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◆編集後記
たまには趣向を変えて、時事ネタを扱ってみました。ちょっと長かったかもし
れませんね。
堀江社長とは面識があるだけに、「やっぱりこうなると思っていた」的な記事
も書けるのですが…。ちょっと、別の見方を提示してみました。
手のひらを返したかのようなマスコミの報道にも疑問がありますし。メディア
を最大限利用して会社を大きくした彼にとっては皮肉ですよね。
書きたいこともまだまだあるのですが、ちょっと考えがまとまらなくて。多分、
来週号の「ニュースで学ぶ与信管理と債権回収」では、そのあたりを書くと思
います。
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次回発行予定:2月2日(木)
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